電気設備
病院では、手術や治療を受ける患者さんを電気的リスクから守るため、一般施設よりも高い安全基準が求められます。当社は「病院電機設備の安全基準 JIS T 1022」や、医療福祉設備協会の安全基準策定にも携わり、これらの基準に沿った設計・施工を行っております。
病院電気設備の安全基準 JIS T 1022 : 2023
4 医用接地方式,非接地配線方式及び非常電源の施設 より抜粋
表1 — 医用接地方式、非接地配線方式及び非常電源の適用
| 医用室の カテゴリ |
医療処置内容 | 医用接地方式 | 非接地 配線方式 |
非常電源 a) | ||
|---|---|---|---|---|---|---|
| 保護接地 | 等電位接地 | 一般 | 無停電 | |||
| A |
心臓内処置、心臓外科手術及び生命維持装置の適用に当たって、 電極などを心臓区域内に挿入又は接触させて使用する医用室 |
○ | ○ | ○ | ○ | ○ |
| B | 電極などを体内に挿入又は接触させて使用するが、心臓には適用しない体内処置、外科処置などを行う医用室 | ○ | + | ○ | ○ | + |
| C | 電極などを使用するが、体内に適用することのない医用室 | ○ | + | + | ○ | + |
| D | 患者に電極などを使用することのない医用室 | ○ | + | + | + | + |
記号:○:設けなければならない。 +:必要に応じて設ける。
注 a) 非常電源は、医用室以外の電気設備と共有してもよい。
表2 — 医用室のカテゴリの適用例(参考)
| 医用室の カテゴリ |
医用室の例 a), b) |
|---|---|
| A | 手術室、ICU、CCU、NICU、PICU、心臓カテーテル室 など |
| B | GCU、SCU、RCU、MFICU、HCU など |
| C | 救急処置室、リカバリ室(回復室)、LDR(陣痛・分娩・回復)室、分娩(娩)室、新生児室、陣痛室、観察室、ESWL室(結石破砕室)、RI・PET室(核医学検査室)、温熱治療室(ハイパーサーミア)、放射線治療室、MRI室(磁気共鳴画像診断室)、X線検査室、理学療法室、人工透析室、内視鏡室、CT室(コンピュータ断層撮影室)、病室、診察室、検査室、処置室 など |
| D | 病室、診察室、検査室、処置室 など |
注 a) 医用室の例の略称は、次を意味する。
ICU:集中治療室、CCU:冠動脈疾患集中治療室、NICU:新生児集中治療室、PICU:小児集中治療室、GCU:新生児治療回復室、
SCU:脳卒中集中治療室、RCU:呼吸器疾患集中治療室、MFICU:母体胎児集中治療室、HCU:準集中治療室
注 b) 医用室の名称は例示であり、各施設の当該医療室内容の目的に合うカテゴリを選定してもよい。
医用室(手術室・ICUなど)の電気的危険要因とその対策
医用室の電源回路
生命維持装置などの一瞬の電源遮断も許されない機器から一般の機器まで、その必要性とエネルギーリソース(無停電非常電源・一般非常電源)を考慮しながら、最適な電源回路を構築します。
| 電源種別 | 無停電非常電源回路 | 一般非常電源回路 | 商用電源回路 |
|---|---|---|---|
| 停電発生後電圧確立 までの時間 |
無停電で電力供給 | 40秒以内で電圧確立 | 商用電力の再受電完了まで |
| コンセントの色 |
|
|
|
接地設備(保護接地、等電位接地)
手術室やICUなどでは、保護接地に加え、等電位接地を施すことで患者さんを電撃から守ります。
保護接地は、各室に医用接地センタを設け、そこに全ての電気機器の金属筐体を接続します。機器の不良や漏電から、マクロショックによる心室細動が発生し、重大な事故に至るのを回避する目的があります。
一方、等電位接地は、患者さんから直接・間接的に触れる恐れのある0.02m2の導電性部分を、電気抵抗が0.1Ω以下(無負荷電圧が6V以下の交流電源を用いて約25Aの電流を流し、電圧降下法で測定したとき)になるよう医用接地センタに集中接続し、電位差を10mv以下に抑え、ミクロショック(心臓を直撃する電撃)を防ぎます。
非接地配線方式
● 非接地配線方式とは
非接地配線方式は、診察・検査・治療・監視などのために電極などを患者の体内に挿入または接触し、体内処理、外科処置などを行う医用室に必要な設備で、以下のような利点があります。
1. コンセントに接続した医療機器に漏電があってもブレーカーが落ちず、電源の供給を継続できる。
2. 絶縁監視装置により、コンセントに接続した医療機器の絶縁不良による危険度がわかる。
3. 適正値(漏れ電流)を超えた医療機器に該当しない機器を接続した際にも警報で知らせる。
● 非接地配線方式の構成
絶縁変圧器(アイソレーショントランス)容量:3kVA / 5kVA / 7.5kVA
絶縁監視装置(アイソレーションモニター)監視容量:3kVA / 5kVA / 7.5kVA
電流監視装置
● 電流監視装置
電流監視装置は、主幹用遮断器が非接地電路全体の過負荷により動作して電源遮断することを未然に防止するために、定格電流値の80%使用状態で警告し、100%の直前で警報を発します。
絶縁変圧器の容量(30A/50A/75A)に応じた電流監視装置があります。
● 過電流警報装置
過電流警報装置は、分岐回路遮断器が過負荷により動作して電源遮断することを未然に防止するために、定格電流値の80%使用状態で警告し、100%の直前で警報を発します。
壁面コンセントやシーリングペンダントなどの各回路(20A)毎に設置します。
