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受託試験事業

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振動試験受託サービス

振動試験とは

振動試験とは、特定の振動波形を試験体に加えることにより、試験体の振動特性や耐震性を評価する試験になります。試験体の振動特性を調べるときは「共振探査試験」を、試験体の耐震性を確認するときは「耐加速度試験」「限界加速度試験」を、輸送中の荷物が輸送過程で受ける振動や衝撃に対する耐震性を評価するときは「輸送試験」を実施し、評価します。

これらの試験は、試験体の用途や要求品質に合わせて試験条件を決める必要があります。ご要望の試験条件が決められない、試験内容について詳しくお知りになりたい場合は、どうぞお気軽にご相談ください。

本試験場で実施可能な振動試験を下表に示します。各項目をクリックすると、詳細をご覧いただけます。

※各試験は以下の規格に準拠しています。
(1)JIS C60068-2-6 2010
(2)JIS C60068-2-59 2001
(3)JIS C60068-3-3 2021
(4)JIS Z0232 2020
(環境試験方法 -電気・電子 正弦波振動試験方法)
(環境試験方法 -電気・電子 サインビート振動試験方法)
(環境試験方法 -電気・電子 機器の耐震試験方法)
(包装貨物-振動試験方法)

●振動試験が活用される場面

①地震対策

③振動耐久性能評価

②輸送・運搬時の振動評価

④振動特性評価

●基礎知識

震度と加速度の関係

震度 人間の体感/行動 加速度(G) 速度(m/s)
ほとんどの人が驚く。歩いている人が揺れを感じる 0.10 0.1
5弱 大半の人が恐怖を覚え、物につかまりたいと感じる 0.24 0.2
5強 物につかまらないと歩くことが難しい 0.52 0.4
6弱 立っていることが困難 0.83 0.6
6強 立っていることができず、動くことができない 1.10 1.2
立っていることができず、動くことができない 1.10以上 1.2以上

加速度[m/s2、G、Gal]:単位時間あたりの速度の変化率

速度の変化がないため、加速度は“0”となる

速度が、1秒後に20m/sに変化しているため、加速度は10m/s2となる

◆ m/s2 メートル毎秒毎秒 SI単位(国際単位)
◆ G 重力加速度 地球の重力によって物体が自然落下する時の加速度
◆ Gal ガル 1Galは1秒間に1cm/s速度が増加する変化率 → 1Gal = 1cm/s2

 

●振動試験の波形、種類

共振探査試験とは

共振探査試験とは、設定した周波数範囲内に共振周波数があるか確認する試験になります。物体には必ず、固有振動数(=共振周波数)と呼ばれる物体が最も振れやすい周波数があり、固有振動数が高い(高周波数)ほどその物体は強固であると評価できます。例えば、大きさと形が同一の豆腐とレンガを比較した場合、柔らかい豆腐の方は遅い振動(低周波数)でも振れてしまいますが、硬いレンガは速い振動(高周波数)でも振れにくくあります。このように、共振周波数を調べることにより、試験体の強度を相対的に評価することができます。共振探査試験では、掃引正弦波と呼ばれる、加速度 (振幅)を一定とし時間経過とともに周波数が変化する試験波を使用します。掃引正弦波の一例を以下に示します。

加振波形 掃引正弦波
加振方向 水平方向(X軸およびY軸)、鉛直方向(Z軸)[各方向独立]
加振周波数 1Hz → 50Hz
加振加速度 0.1G
掃引速度 1oct/min ※

※1分間で周波数が2倍になる速度

共振探査試験の成立条件を以下に示します。
位相および応答加速度にノイズが入っていないこと
・当試験場の共振周波数の判定条件は、位相が90°遅れ、応答倍率が2倍以上であることとする

掃引正弦波の周波数範囲内に試験体の共振周波数があると、試験体の位相と応答加速度に顕著な変化が見られます。共振探査試験結果の一例を以下に示します。

左上のグラフ(位相-周波数)は、振動台の動きに対する試験体の位相を示しています。基準となる振動台と試験体が同じ動きをしている間は、位相は0°になります(5Hz~20Hz)。試験体が振動台の動きについてこれずに遅れる(振れ始める)と、位相はマイナスへ下がります (20Hz~)。その後、位相が90°遅れる周波数が共振周波数となります(23Hz) 。

左下のグラフ(応答倍率-周波数)は、振動台の加速度に対する試験体の加速度(応答加速度)を表します。共振周波数のとき、試験体の加速度は、振動台の加速度の10倍の値が計測されています。このように、試験体が最も振れやすい共振周波数で加振することは試験体に大きな負荷を与えるため、耐震評価の試験条件に用いられます。

耐加速度試験、限界加速度試験とは    

耐加速度試験および限界加速度試験とは、試験体に、規定の振動波形を規定の時間加えても、所要の機能を維持していることを確認することで、試験体の耐震性を評価する試験です。振動波形は、連続正弦波もしくは正弦ビート波を使用します。目標加速度を付加する耐加速度試験と、目標以上の加速度を付加する限界加速度試験の2段階で評価します。加振周波数は、1種類の周波数(33Hz)のみを加振する場合、7種類の周波数(5Hz、7Hz、9.5Hz、13Hz、17Hz、22Hz、30Hz)を加振する場合、共振探査試験で確認された共振周波数で加振する場合等があります。耐加速度試験・限界加速度試験条件の例を以下に示します。

試験条件 例1)

加振波形 正弦波
加振方向 水平方向(X軸およびY軸)、鉛直方向(Z軸)[各方向独立]
加振周波数 共振周波数が確認された場合:その共振周波数
共振周波数が確認されなかった場合:33Hz
目標加振加速度 【耐加速度試験】 水平方向:3.0G  鉛直方向:3.0G
【限界加速度試験】水平方向:8.0G 鉛直方向:6.0G
加振時間 各方向10秒以上


試験条件 例2)

加振波形 正弦ビート波(10波5サイクル、ビート間隔2秒)
加振方向 水平方向(X軸およびY軸)、鉛直方向(Z軸)[各方向独立]
加振周波数 5Hz、7Hz、9.5Hz、13Hz、17Hz、22Hz、30Hzおよび共振周波数
目標加振加速度 【耐加速度試験】 水平方向:5.0G 鉛直方向:5.0G
【限界加速度試験】水平方向:10.0G 鉛直方向:10.0G

耐加速度試験および限界加速度試験の成立条件を以下に示します。
・振動台の加速度が目標加速度を超えていること
・振動試験の前後で、試験体の機能が正常であること

 

地震波加振試験とは  

地震波加振試験とは、試験体を地震波にて加振した後に、所要の機能を維持しているかを確認することで、試験体の耐震性を評価する試験です。地震波には気象庁が観測したデータを基に、実際に起こった地震を再現する観測地震波と、より大きな震度に対する評価を目的として作られた人工地震波があります。
地震波加振試験の特徴として、一つの波形に多くの周波数成分を含んでいるため、経過時間ごとに周波数は変化します。一方で、耐加速度試験および限界加速度試験では周波数は一定となります。地震波加振試験の一例を以下に示します。

地震波加振試験 試験例)

加振波形 兵庫県南部地震 観測点名:兵庫県神戸市中央区中山手(JMA KOBE)
加振方向 3軸(X、Y、Z)同時
加振レベル 震度7相当(観測地震波の1.2倍(120%))
共振周波数が確認されなかった場合:33Hz
目標最大加速度 NS波;981.63gal EW波:740.74gal UD波:398.69gal
ハイパスフィルタ 1.0Hz

地震波加振試験の成立条件を以下に示します。
・振動台の加速度が目標加速度を超えていること
・目標とする相当震度を満たすこと
・振動試験の前後で、試験体の機能が正常であること

掃引正弦波とは

掃引正弦波とは、加速度 (振幅)を一定として、時間経過とともに周波数が変化するような波形です。加振周波数範囲内に試験体の共振周波数があると、応答加速度に顕著な変化がみられることから、共振探査試験等に用いられます。掃引正弦波の一例を以下に示します。

【適用規格】JIS C60068-2-6 2010 環境試験方法-電気・電子 正弦波振動試験方法

連続正弦波とは

連続正弦波とは、振幅及び周波数が一定の正弦波を、規定時間まで連続させた波形のことです。目標とした加速度が一定時間付加された状態においても、試験体が所要の性能を維持するかを確認する耐加速度試験や限界加速度試験に用いられます。連続正弦波の一例を以下に示します。

【適用規格】JIS C60068-2-6 2010 環境試験方法-電気・電子 正弦波振動試験方法

正弦ビート波(サインビート波)とは

正弦ビート波とは、周波数が一定かつ一波ごとに振幅が変化する正弦波のサイクルに、一定時間の間を設けた一つのパターンを複数回繰り返す波形です。目標とした加速度が繰り返し付加された状態においても、試験体が所要の性能を維持することを確認する耐加速度試験や限界加速度試験に用いられます。主に7種類の周波数(5Hz、7Hz、9.5Hz、13Hz、17Hz、22Hz、30Hz)を試験条件とします。10波5サイクル、ビート間隔2秒の正弦ビート波の一例を以下に示します。

【適用規格】JIS C60068-2-57 2018 環境試験方法-電気・電子 時刻歴およびサインビート振動試験方法

ランダム波とは

ランダム波とは、様々な振幅及び周波数の正弦波を合わせた波形であり、地震波も含まれます。ランダム波を試験体に加えると、同時に多くの周波数成分で振動させることができるため、短時間で試験体の特性や耐震性を評価することが可能です。三軸振動試験装置では、阪神淡路大震災の観測波や東日本大震災の観測波、人工地震波(包絡波)等を加振することが可能です。また、単軸振動試験装置では、『JIS Z0232 包装貨物-振動試験方法』に基づく輸送試験等を実施することが可能です。ランダム波のイメージを以下に示します。

【適用規格】JIS C60068-2-64 2011 環境試験方法-電気・電子 広帯域ランダム振動試験方法および指針